CASE STUDY 2022.08.31

〈VANS〉と博報堂Gravityが試みた、ユースカルチャーを巻き込むプロモーションの形。

1966年にアメリカで誕生し、ストリートカルチャーを中心に長く愛されてきたシューズブランド〈VANS〉。webメディア「EYESCREAM.JP」内での「5人の写真家が切り取る十人十色のVANS ERA」企画は、プロモーションの切り口が斬新だと話題を呼んだ。その企画を担当した博報堂Gravityの古口基文と〈VANS〉のPR・島田卓矢さんとの対談から、愛される”スタンダード”を再燃させた仕掛けに迫る。

 

島田卓矢

しまだ・たくや 1991年、東京都生まれ。国内におけるVANSのPRを担当。

 

古口基文

こぐち・もとふみ 1991年、神奈川県生まれ。大学卒業後アタッッシュドゥプレスでファッション・ライフスタイルブランドのPRに携わり、2016年コスモ・コミュニケーションズ(現博報堂Gravity)入社。

 

 

博報堂Gravityを選んだ理由

商品の特性を踏まえたクリエイティブプランでスムーズに進行ができた。(島田)

島田卓矢さん(以下、島田) 博報堂Gravityとの取り組みは、3年半ほど前に〈VANS〉のwebサイトのビジュアル制作でご一緒したのが最初。そこからの縁で、今回〈VANS〉の看板商品でもある「 ERA(エラ)」のwebのPRをお願いしました。ファッションやカルチャーの経験が豊かで、詳細なオリエンテーションをする前から前提として商品や文化的背景について知識があるのは、博報堂Gravityならではの長所ですよね。最初から商品の特性を踏まえたプランを提案していただいたので、スタートからとてもいいムードで進行できました。

古口基文さん(以下、古口) 今回フィーチャーした「エラ」は、「オーセンティック」「オールドスクール」「スリッポン」「スケートハイ」とともに”ファイブクラシックス”と呼ばれる〈VANS〉の定番ラインです。すでに人気がある商品なので、これまでとは違った角度で訴求していくのが課題でした。その点を踏まえて博報堂Gravityとしての強みを生かした提案が、僕たちと同年代の若手フォトグラファーを軸にした今回の企画です。「エラ」を履いて欲しいモデルを先にキャスティングするのではなく、フォトグラファーを5人アサインして、モデルや撮影方法はお任せで自由に撮影してもらうことで、フォトグラファー周りのカルチャーやトレンドに敏感な層に改めて「エラ」の魅力を届けていきたいという狙いがありました。

島田 僕はクリエイティブにあまり精通していないので、企画の概要だけでは正直どんな効果が期待できるのかわからなかったのですが……。ただそこから提案された、フォトグラファーの人選やそこから広がるコミュニティやリレーションも含めたプランがとても説得力のあるもので、納得できました。僕だけでは到底考えつかない企画だったなと思いますね。担当してくれた古口くん自身も、普段からVANSを愛用していたりクリエイティブにアンテナを張っていてカルチャーに強い。古口くん含め、このチームだから安心して企画を任せることができました。

古口 ありがとうございます。フォトグラファーは個々に自分の世界観や得意分野を持っているので、例えば「このフォトグラファー、スケートボード界隈のコミュニティに強くこんな作品が撮れるこのフォトグラファーは、音楽やアート系のアーティストとの繋がりが強くこんな雰囲気を出せる」といったような大体のコミュニティやリレーション、作品のイメージなんとなく読めるんです。今回は特にそういったディテールの部分が肝になった企画だったので、フォトグラファーの人選は特に慎重に吟味しましたね。

職業柄、カメラマンや編集者、スタイリストやヘアメイクなどのクリエイティブに携わる人たちと定期的に会うことが多いので、そういった現場でキャッチした新しい情報が活かされたタイミングでもありました。

島田 古口くん自身にそういったクリエイティブへのリスペクトや信頼があるからこそ、フォトグラファーの子達も伸び伸びと撮影できていたように思います。また、当初の狙い通り「このフォトグラファーからの相談なら引き受けたい」と思ってくれるモデルの子がいたり、上から下まで信頼がうまく循環していたのはとても良かったです。

表現自由度の高い外部メディアを組み合わせた発信

オウンドメディアでは見られない新たな「エラ」の一面に出会えた。(島田)

古口 今回は普段からVANSを愛用しているリアルなユーザーに、改めて「エラ」の良さを伝えたかった。ウェブメディアだけではなく、同時にwebメディアの「EYESCREAM.JP」にも営業を持ちかけてメディアミックスというアプローチもしました。当初予定していたのは編集部に企画を持ち込みOKが出たら、テキストも含めてこちらで全て制作して納品するという座組み。でも僕たちの企画を「EYESCREAM.JP」の編集部が面白がってくれて、編集者が入って編集ページのように作り込めることになったんです。結果的にフォトグラファーとのコミュニケーションや、写真が効果的に見えるようなページの構成などを手伝ってくれました。プロの視点が入り、クオリティの高いコンテンツになったと思います。

写真:青木柊野

写真:本間加恵

写真:相澤有紀

写真:小林真梨子

島田 一度各フォトグラファーと個々に打ち合わせの場を設け、最低限のNGだけを伝えて5人の目線を合わせたら、その他はフォトグラファーもモデルも、縛りのない自由演技でOK。オウンドメディアでは決して見られない、フォトグラファーの色に染まった「エラ」の新しい一面がうまく引き出されているんじゃないかなと思います。

決まりがないからこそ気づけた新しいVANSの新しい魅力もあります。今回の「EYESCREAM.JP」では、靴紐が縦結びになっている作品が掲載されているのですが、それがアメリカの”適当感”が表れていてとてもかっこよかったんです。縦結びは日本の靴業界ではタブー視されているけど、それ以来僕もわざと縦結びにするのがブームです。

写真:岩本幸一郎

古口 靴紐で思い出した裏話がもう一つ。新品のVANSは、本来自分で靴紐を通すのですが、紐の通し方はみんな統一させたかったので、撮影用の50足全てに靴紐を通すのが実はとても大変な作業でした。一人で作業スペースにこもって黙々と紐を通していたのですが、今となってはいい思い出です。

ブランドネームに頼らないアプローチで広がる反響

〈VANS〉のブランドネーム無しでも、商品を発信してもらえる仕組みができた。(島田)

島田 今回のコンテンツでは当初予想していた以上の反響もありました。今回は店頭でのプロモーションではないので、実際の売上などの数字は測れないのですが、コンテンツのビュー数がとても多かったんです。

古口  モデルもそれぞれ積極的にリポストして拡散してくれていました。「フォトグラファーの〇〇さんに撮ってもらいました」「EYESCREAM.JPに載ってます」というようなライトなテンションで、自主的に発信しやすかったのが大きく作用したのかなと思います。SNSを含めるとサイトへの流入数がとても多く、反響としては大満足な結果でした。

島田 例えば全国に1000店舗あるABCマートに来てくれたファミリーに「エラ」が爆発的に売れるようになったかと言ったらそうではないけど、ある程度ファッションやカルチャーが好きでよく見ている、自分たちと同世代くらいの人々にはちゃんと届いたかなという感じはしていますね。実際、カルチャーやファッションが好きな友達から直接反響を得られました。オーガニックにSNSで発信してもらえる仕組みは、今回の博報堂Gravityとの取り組みで新たに発見できました。やはり日頃からカルチャーに密接に触れているからこそ得られた結果だと思います。

引用元:EYESCREAM.JP

写真:石渡朋

※コロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえでインタビューを行い、撮影時のみマスクを外しております。

  • HOME
  • Dear Andy.
  • 〈VANS〉と博報堂Gravityが試みた、ユースカルチャーを巻き込むプロモーションの形。