CIPとは ファッション業界に携わり続けることで培った、Gravity独自のネットワークを強みとしたインフルエンサーサービス。Dear Andy.では、さまざまな分野で活躍する若手インフルエンサーに同年代の若手編集・ライターがインタビューをし、活動の仕組みや影響を与えているものなどをコスモならではの感度やセンスで紐解いていきます。 |
やりたいことがあるなら、頭で考えるよりもまずは行動
ーーサウナ「PARADISE」に携わるようになったきっかけは何だったのでしょうか。
大澤 |
きっかけは、この建物のオーナーとの出会いですね。「PARADISE」になる前は、長い歴史のある銭湯「万才湯」を改装して作られた銭湯居酒屋だったんですよ。でも、新型コロナウイルスの影響でお店を畳まなければいけなくなってしまった。僕が出会ったのは、オーナーが次に何をしようか考えているタイミングでした。 彼は、25歳の学生時代に起業をして今や20軒もの店舗を経営している起業家。彼自身がそういう道を歩んできたからこそ、厳しいことを言われてもその言葉に説得力や思いやりを感じられました。ある時、将来のことについて相談したら、「きみは頭では色々将来のことを考えているみたいだけど、まずは行動しないと意味ないよ」と言われたんです。それで当時自分が興味を持っていた“サウナ”を形にするべく、トラックに乗せて日本全国どこへでも行ける移動式サウナ「サウナカー」を作りました。 |
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ーー「PARADISE」と同じように、自分でイチから手作りだったのですね。大澤さんが考える理想の働き方があるのでしょうか。
大澤 |
僕の思い描く理想のビジネス像は、自ら手を動かしながら経営もするクリエイティブな起業家。当時はコロナウイルスのせいで移動に制限があった頃でしたが、自分が建物から出ずとも空間ごと動けたら可能性も広がるし面白いなと思ったんです。 その移動できる空間にサウナを掛け合わせて、どうにかビジネスにならないかなと思って始めたのがサウナカーでした。でも、利益を出すのが難しくて結局ビジネスとして成立しなかった。そのタイミングでちょうど今の「PARADISE」の立ち上げの話をもらい、オーナーと意見を交換しながら一緒に準備を進めることに。 たまたまサウナが好きだった僕と、たまたま銭湯を立ち上げようとしていたオーナー。この偶然の出会いがあったから、今は自分の好きなことを自分のやりたいように仕事にできています。 |
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多感な時期に多くの価値観に出合ったことで、世界が広がった。
ーー大澤さんの幼少期は、どんな子どもだったのですか。
大澤 |
昔から活動的な子供だったかと言われるとそうではありません。幼少期は空手を習ったり、高校では部活でサッカーやバドミントンをやったりと活発ではありましたが、自分から率先して何かをやったりするようなタイプではなかった。ごく普通の学生でしたよ。 大学進学をきっかけに上京してきたのですが、東京で様々な考え方の大人に出会うようになったのが大きなターニングポイントになったと思います。クリエイターやアーティスト、起業家の人たちが集まるシェアハウスに住んでいた時もあって、その時の出会いが今の仕事に繋がっていることも。自分の可能性が大きく広がる大学時代に価値観の違う人たちと出会えたのはとても有意義だったなと思います。 |
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ーーたくさんの出会いの中で、特に大澤さんが尊敬している人はいますか。
大澤 |
3人います。一人は国内外で活躍している建築家の谷尻誠さん。彼は学歴社会と言われる建築業界で、学歴に頼ることなく自ら営業して地道にキャリアを積んできた。そのストーリーが、建築学生という同じ境遇の僕には深く刺さりました。さらに建築家としてだけではなくて起業家としての一面も持っている点も尊敬します。著書を何回も読み込んだほど、谷尻さんはずっと憧れの存在です。 |
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大澤 |
二人目はここ「PARADISE」のオーナー。彼のビジネスはアーティストの活動に近いんです。飲食店の経営からこのサウナのブランディングまで幅広い事業を手がけていますが、全てゼロの状態から手作り。初めて会った時から「この人との出会いは宝だな」と思った、なくてはならない存在です。 三人目は学生時代にアルバイトをしていた「羊サンライズ」オーナーの関澤さんです。自分や周りの意見を取り入れながらお店のことを常に考えている人で、相談にもよく乗ってくれていました。 三人とも全く違う考え方や価値観ですが、共通しているのは「みんな好きなことを仕事にしている」という点。尊敬する三人の良いところをそれぞれハイブリッドに吸収してもっと大きくなっていきたいです。 |
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ルールや常識の範囲内で、どれだけ面白いことができるか。
大澤 |
僕たちはソファのある休憩所を“現世”、浴室を“極楽浄土”と呼んでいるのですが、それぞれの世界にマッチするよう前者では洋楽の音楽をかけ、後者では水の音だけが響く無音の空間にしています。両者の狭間にあたる脱衣所で流れているのは、落語・講談とともに「日本三大話芸」の一つとされる『浪曲』。何を言っているのか分かりづらい難解な音源なのですが、不思議な世界から無音の極楽浄土へいざなわれていく感じを、音でも表現したかったんです。 |
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大澤
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五感が鋭くなるサウナの後は視覚からの情報も重要。銭湯というと、大きな富士山の壁画を思い描く人が多いと思いますが、ここではプロジェクターで映像を流しています。 現在流れているのは、東京藝術大学の学生でアーティストのRYO OGATAさんに作ってもらった“極楽浄土”のアニメーションですが、今後はたくさんのアーティストとコラボした作品やスポンサー企業の広告を写していく予定。サウナとしてだけではなく、なかなか芽が出ないアーティストと企業とのマッチングがうまくできるようなプラットフォームとしての役割も担っていけたらと思っています。 港区という立地もあり、この街のサウナに来る人の層は近くで働いている20代〜50代の男性がほとんどで、その中にはクリエイターやプロデューサーのようなアートへの造詣が深い人も多い。その人たちが、この場所で新たな才能を見つけてくれたら、とても嬉しいですよね。 |
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サウナを中心としたコミュニティを広げ、まちづくりにも貢献したい。
大澤 |
新型コロナウイルスの影響で、商店街全体も大きなダメージを受けました。だからこそ「PARADISE」をきっかけに、街全体が活気を取り戻して欲しいと思っています。最近のサウナでは珍しいのですが、ここでは食物の販売をしていません。それはサウナに入ってお腹が空いたら、この慶応仲通り商店街でご飯を食べて欲しいから。そうやってお店同士で高め合いながら、街のコミュニティの中心的な存在になって欲しいです。
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ーー自分の「やりたい」を「PARADISE」という形にした大澤さんですが、今後継続していきたいことや、新たに挑戦したいことはありますか。
大澤 |
「PARADISE」が目指すのは、『日本一サウナ好きを増やす施設』。そのためにも根底にある施設のコンセプトや「自分も楽しく世の中も楽しく」という理念をアルバイトも含めたスタッフ全員で共有して、すれ違いの無いようにしたいです。意識のすり合わせが、細やかなサービスにつながると思うから。 ここでは、統括する僕が常に現場にいるのでお客さんの意見を直接吸い取って物事を動かすことができます。サウナの温度も体調や外の気温に合わせて調節可能。臨機応変に対応できるのは何よりの強みだと思うので、これからもお客さんと一緒に、より良い空間を提供していきたいです。 また、このまま軌道に乗れば次の店舗展開も視野に入れています。立ち上げのための細かい事務処理から全て一人でやってきたので、そのノウハウをまたどこかで生かしたいですね。 |
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【住所】
〒108-0014 東京都港区芝5丁目23−16【営業時間】
24時間
清掃時間(AM4:00〜6:00)を除く【料金】
●一般入浴
最初の30分:750円(タオル付き)
以降10分ごと:250円
●個室サウナ
90分コース:3500円
以降10分ごと:250円
※価格は全て税込
写真:英里
※コロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえでインタビューを行い、撮影時のみマスクを外しております。