CIP 2022.08.26

モデルからブランドディレクション、動物愛護まで。キャリアを重ねて見つけた自分らしい表現の形。ーモデル・NATANEさん

フリーランスのモデルとして表舞台で活躍する一方で、アクセサリーブランド『añil』の撮影・ディレクションなど制作の裏方も手がけているNATANEさん。2021年より、自身で撮影した写真をツールに動物愛護団体への寄付を目的としたWeb Store ”Charity T-shirt” を開設。モデルを始めてから13年という長いキャリアの中で、価値観を広げてきた彼女が見つめる未来とは。

CIPとは

ファッション業界に携わり続けることで培った、Gravity独自のネットワークを強みとしたインフルエンサーサービス。Dear Andy.では、さまざまな分野で活躍する若手インフルエンサーに同年代の若手編集・ライターがインタビューをし、活動の仕組みや影響を与えているものなどをGravityならではの感度やセンスで紐解いていきます。

異なる手段で自分の世界を表現する楽しさ。

ーー現在は事務所に所属せずフリーで活動していらっしゃいますが、モデルを始めたきっかけについて教えてください。

NATANE

 モデルを始めたのは12歳の時。幼少期は海外に住んでいたのですが、日本に移住したタイミングで母にモデル事務所に連れて行ってもらいました。当時の私はすごくシャイで、初めは表に出るモデルの仕事にあまり乗り気ではなかったのですが、ひとまず始めてみることに。続けていくうちに自分で表現することがどんどん楽しくなってきて、気づいたら今年で13年目になります。

今はモデルの他に、母と一緒に立ち上げたアクセサリーブランド『añil』のディレクションや趣味である写真撮影など、私の世界観を表現できる複数のチャンネルを持つようにしています。

ーーNATANEさんの考え方や仕事に大きく影響を与えた人や経験はありますか。

NATANE

 前に所属していた事務所の社長からは、本当に多くのことを学びました。出会ったのは高校生の時。当時の私は自然との調和を何よりも大切する”ヒッピーマインド”を持った両親に育てられたからか、社会の仕組みについて無知でした。社長はそんな私に社会のことを一から教えてくれました。会社を立ち上げるほど社会性のある社長と、社会に対して自然の中で生きてきた両親。正反対の考え方を持つ二方に育ててもらえたのは、自分の価値観や世界観を大きく広げてくれる経験だったと思います。

あとは、友人や家族との何気ない会話の中での言葉にハッとさせられることもよくありますね。

ーー何か具体的に覚えている言葉はありますか。

NATANE

 18歳の時に二つ上の兄から言われた「いつかこうなりたいと思っていたら、ずっとその”いつか”を追いかける人になっちゃうから、今を楽しみな」という言葉は今でも覚えています。

私はもともとすごく完璧主義者で、今に満足できないと思い悩むことがよくあったので、その考え方はまさに目から鱗。「いつか完璧になろう、いつかこうなろう」ではなくて、今の自分を認めてあげないと一生幸せになれないのかもしれないと気づいた瞬間でしたね。自分とは違う視点を持つ人からの言葉によく救われている気がします。その言葉をくれた当の本人は多分覚えていないと思いますけどね(笑)。

ーー事務所に所属した後にフリーランスに転身した経緯について教えてください。

NATANE

 モデルをしていると自然とカメラに触れることも多く、自分も写真を撮るようになり、それをTシャツにしたり、zineを作ったりしているうちにディレクショなど裏方にもすごく興味がでてきて、それと同時にモデルとしての自分に限界を感じ始めてたので、モデルをやめる気持ちで事務所を退所しました。それから自由に髪を切ったりイメージを気にしなくなったらinstagramを通じて沢山の依頼が来て、気づいたらフリーランスモデルになってました。同時期にフリーランスで活動する人も増え働きやすい環境が整ってきたこともあり、全てのタイミングがちょうど良く揃っていたのは、本当にラッキーだったと思います。

大好きなものを守るために踏み出した、確かな一歩。

ーーNATANEさんは本業の傍ら、動物愛護団体への寄付を目的としたWeb Store”Charity T-shirt” を開設するなど、動物愛護活動にも力を入れていらっしゃいます。その活動を始めたきっかけについて教えてください。

NATANE

 チャリティーには以前から興味があり、自分の得意なことを組み合わせて何かできないか考えたんです。そうして2021年の夏頃から”Charity T-shirt”の活動を始めて、今年5月に第二弾のTシャツを発売しました。

Tシャツを作ることにしたのは、動物愛護への興味や知識がない人にもアプローチできると思ったから。自分が着ていれば「それ可愛いね、どこで買ったの?」と会話が始まり、「実はこれチャリティーのTシャツで、こういう団体に寄付されているんだよ」と伝えられるかもしれない。単純にデザインを気に入って手に取ってもらった人にも、背景を知ってもらえたら嬉しいですね。プリントする写真は自分で撮ったもので、デザイン、ボディ選び、ほとんど全て一人でやっています。

Charity T-shirt第二弾「Jake Elvis Monica」の写真。

ーー活動はほとんど一人でやっているということですが、行き詰まった時やアイデアが出てこない時などはどうやって乗り越えていますか。

 NATANE

 アイデアが出てこないことはあまりないから、0から1を生み出すのはすごく得意な方だと思っています。ただ、そのアイデアを形にするのが苦手なタイプかもしれません。そんなときは周りの人に頼るようにしています。技術面について知識のある人に聞くことはもちろん、「正直この値段どう思う?」「ボディはどう思う?」と、普段服に興味がない人から客観的な意見を聞くことも。自分だけの考えに偏らないように、できるだけたくさんの人の意見を取り入れるようにしています。

ーーNATANEさんが今後やりたいことや、将来の展望があれば教えてください。

NATANE

 

 “Charity T-shirt”の活動を通して、動物愛護への興味関心がもっと広がってくれたら嬉しいし、最終的には日本でも、動物の殺処分やペットショップでの動物売買がなくなって欲しい。母とやっているアクセサリーブランド『añil』はスペイン語で“藍色”という意味。美しい装い」「あなた次第」という藍の花言葉になぞらえて、“たくさんのイロで溢れる地球や人間の美しさは、あなた次第で定義づけられる”という思いを込めています。そのコンセプトの通り、ありとあらゆる”美しさ”に気づける人間でありたいです。

内面では、幼い頃から理想として思い描いている“カッコいい大人”を目指していきたいです。仕事柄、昔から自分よりもひと回りもふた回りも年上の人たちに囲まれる場面が多く、自分が尊敬できる大人が周りにいるだけで、嫌なことがあっても「世の中にはこんなに素敵な大人たちがいるんだ」と救われてきました。今度はそう思われる側の人に私もなりたいです。

私が思うかっこいい女性というのは“バランスがいい人”。仕事もプライベートもバランスよく楽しめて、なおかつ客観的に自分を見られる人でありたいです。

 

写真:英里

※コロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえでインタビューを行い、撮影時のみマスクを外しております。