CIP 2022.12.23

まだ大人になりきれない曖昧な若者が、”自分の選択肢”と出会える場所作り。ー<ヤングマンベイグ>代表・佐藤美優さん

“若者の夢と葛藤”をコンセプトに掲げるエンパワーメントメディア『ヤングマンベイグ』。2019年に第一号を発行し、都内数カ所に設置した雑誌は1週間でなくなるほどの人気ぶりで、その他にも若者が気軽に集まれるイベントも定期的に開催している。代表の佐藤美優さんに話を聞くと、同じ悩みを抱える同世代だからこそ届けられる言葉があった。

CIPとは

ファッション業界に携わり続けることで培った、Gravity独自のネットワークを強みとしたインフルエンサーサービス。Dear Andy.では、さまざまな分野で活躍する若手インフルエンサーに同年代の若手編集・ライターがインタビューをし、活動の仕組みや影響を与えているものなどをGravityならではの感度やセンスで紐解いていきます。

きっかけは二十歳前に抱えていた自分自身のモヤモヤ。

ーー『ヤングマンベイグ』の現在の活動内容について教えてください。

佐藤

 主に雑誌「ヤングマンベイグ」の制作・出版と、イベント開催の二つを行なっています。

若者の赤裸々な悩みや同世代で活躍する方々へのインタビューを紹介し、自主出版で不定期に刊行している雑誌「ヤングマンベイグ」は現在vol.1、vol.2、vol.2.5の3冊を出版しています。来てくれたお客さんを相手に私たちがママとなって雑談ベースで悩みを聞くイベント「スナックヤングマン」も定期的に開催。2023年の3月にはこれまでの活動の集大成となるような大きなイベントも計画しています。

スナックヤングマンの様子。
上写真:10月30日(日)、下写真:8月12日(金)(次回開催は12月27日(火))

ーー『ヤングマンベイグ』を始めようと思ったきっかけを教えてください。

佐藤

『ヤングマンベイグ』を立ち上げたのは私が19歳の時。二十歳の一歩手前で、私自身が子供にも大人にもなりきれない曖昧なモヤモヤを抱えていて、それを何かの形にしたいと思ったのがきっかけです。かといって具体的にカメラがやりたいとかライティングをしたいわけではない。何から始めればいいかわからないと思った時に、自分のInstagramのストーリーで「同世代で、モヤモヤを形にする「ものづくり」をしませんか?」と呼びかけたんです。そこで「一緒にやりたい!」と声をあげてくれたのが、今一緒に活動している副代表の小倉巳奈でした。お互いフォローをしているだけの関係で直接会ったことがなかったのですが、その後一緒に食事をして話をするうちに、世の中に対して思っていることや感性が合致。直感でこの人と一緒に活動しようと決めました。

ーー立ち上げてから、初めに取り掛かったのはどんな企画だったのでしょうか。

佐藤

 最初に取り組んだのは雑誌『ヤングマンベイグ vol.1』の創刊。テーマにしたのは曖昧な若者の「夢」と「葛藤」。その中で「2000年生まれ2000人に聞いたアンケート」企画に挑戦しました。今考えると若さ故にできた企画だと思いますが、当時は衝動的に2000年生まれ2000人にアンケートをとったら面白いんじゃないかと思ったんですよね。Googleフォームなど便利な機能を知らなかった私たちは紙でアンケートを作成して、大学で配り歩いたり友達の友達に広めてもらったり、かなりアナログな方法で集めていたので、時間も労力もかかってとても大変でした。知識も経験もゼロからのスタートでいきなり走り出した企画だったので、やっていくうちに学ぶことも多かったです。特に活動を通して出会う大人たちからのアドバイスは、先輩や上司がいない私たちにとってとてもありがたいものでしたね。

ーー具体的にどんなアドバイスをもらったのでしょうか。

佐藤

 学生フリーペーパーの祭典「 Student Freepaper Forum (SFF) 」に『ヤングマンベイグ vol.1』を置かせてもらった時の縁で『装苑』の編集長・児島さんと話す機会がありました。そこで「君たちは全力で取り組んで一つの大きな丸を作ったと感じているかもしれないけど、それは大人から見たら小さな丸にしかすぎない。だからもっと幅を広げられるしもっと大きくなれるよ」と言ってもらったんです。また、vol.1に出演していただいた当時『CYAN』の編集長・鈴木さんと話す機会もあったのですが、「編集長として自分を殺して全体を見れないといけないよ」と言われたのも覚えています。他にも同じ畑の先輩としてチームや組織のあり方としての助言をいただけたのは大きな財産になりました。

インタビュー経験も雑誌作りも素人。ゼロからのスタートだからこそリアルな媒体になった。

ーー佐藤さんはこれまでに数々の方にインタビューを行ってきたと思いますが、その中で学んだことや思い出に残るエピソードはありますか。

佐藤

 インタビューをしたこともない、撮影現場に行ったこともない素人だったので、最初は企画書の作成方法やメールの送り方も何も分からなかったんですよね。でも、話を聞きたいと思う人にはこちらから熱いメッセージを伝えるのがとても重要で、そうすれば素人の私たちにも振り向いてくれるということにも気づけました。その一方で、熱いメッセージに期待して引き受けたのに、「現場に全く熱意が感じられない」とご指導いただく経験もありました……。ヤングマンベイグとしてのチームワークが足りていなかったし、出演者の魅力を存分に引き出せていなかったことをすごく反省し同時に今後の活力に変えることができた現場でしたね。

ーーインタビューの人選や企画の軸にしていることはありますか。

 佐藤

 読者や受け手へ「一歩踏み出すきっかけ」を与えられるような人選や企画を軸に動いています。当初は同世代で表舞台で活躍している人に話を聞いていましたが、vol.2.5では光の当たる場所当たらない場所関係なく、夢に向かって挑戦している全国の若者を発信する「スポットライト」企画を始動。例えばギターを弾くアーティストではなくてギターを作るギタークラフトの方だったり、素敵なグラフィックデザインを手がけるけど作品を表に出す機会がない周りの友人だったり45人の同世代に取材しました。きっと「ヤングマンベイグ」の読者が求めているのってメジャーな舞台で活躍している人よりも、もっと身近でリアルな面白い選択肢だと思うんです。今後は地方にも足を運びもっとたくさんの人にインタビューしていく予定です。

ーー「スナックヤングマン」を始め、対面でのリアルイベントも行っていますが、特に印象的だったイベントはありますか。

佐藤

 

 ラフォーレ原宿「BE AT TOKYO」での展示は周りからの反響も大きく思い入れのあるイベント。私たちは先にお話しした「スポットライト」の企画を軸に、アートカルチャー部門から15人ほどを招待して、彼らの作品を展示・販売できるブースを作りました。多くの同世代を巻き込んでいることを実感できたはじめてのイベントとなり、会場のスタッフにも面白がってもらえましたし、何より出展者がみんな口を揃えて感謝してくれたのは嬉しかったですね。『ヤングマンベイグ』が目指す場所を再確認できるいい機会になりました。

2022年3月に開催された「BE AT TOKYO」でのイベントブースの様子

目指すのは、漠然とわからない悩みの選択肢を探せる場所。

ーー佐藤さんの創作の原点はどこにあるのでしょうか。

佐藤

 高校時代からSNSなどでクリエイターやアーティストの投稿をよくチェックしたり、気になる写真家の出る合同写真展や個展にもよく足を運んだりしていて、漠然とものづくりに興味があったのだと思います。高校3年生の時には、ヘアメイク・スタイリング・カメラなどを全て自分で考え撮影しオリジナルのミニ写真集も制作。それを自信満々で信頼している美術の先生に見せたら、「やりたいことがたくさんあるのは分かるんだけど、なにを伝えたいのかよくわからないよ」というアドバイスもくれました。その時に何か物を作る時にはメッセージを届けることが大切であると学びましたね。

ーー佐藤さんがアイデアに煮詰まった時や、日々のインプットとして大切にしている習慣はありますか。

佐藤

 私は常に頭の中にやってみたいヤングマンベイグとしての挑戦がいっぱいある状態で、アイデアが出なくて困ったことがほとんどないんです。でもインプットとしてはなるべくいろんな人に会って、直接話すようにしています。アドバイスをくれた児島さんや鈴木さんを始め、これまで出会った人たちに助けられている部分がすごく大きいと感じていて、それはいろんな場所に足を運んで話す機会を作っているからだと思うんです。『ヤングマンベイグ』の活動も、誰かの出会いの場所になっていたら嬉しいですね。

ーー2019年の夏に立ち上げてから今年で4年目。『ヤングマンベイグ』が見据える今後の目標を教えてください。

佐藤

 立ち上げた当初は「2000年生まれのためのメディア」と具体的に層を限定していましたが、今はその枠に囚われずに曖昧な若者みんなの“やりたい”を実現できる場所を目指しています。世の中にはみんなが知らないような様々な職業や生き方があって、それらを紹介することでみんなの将来の選択肢を広げていきたい。自由に生きてきた頃から一転、就活のタイミングでいきなり自分の将来を不安に思う若者って多いじゃないですか。就活情報サイトを見てもうまくイメージが湧かないことも多い。実際私もそうでした。『ヤングマンベイグ』はその前段階として、自分の選択肢を探せる場所やツールになれたらいいなと思っています。