CIPとは ファッション業界に携わり続けることで培った、Gravity独自のネットワークを強みとしたインフルエンサーサービス。Dear Andy.では、さまざまな分野で活躍する若手インフルエンサーに同年代の若手編集・ライターがインタビューをし、活動の仕組みや影響を与えているものなどをGravityならではの感度やセンスで紐解いていきます。 |
「美味しい」を通して広がる世界を伝えていきたい。
ーー<YOOFIN>を立ち上げるまでの経緯について教えてください。
関根 |
<YOOFIN>をスタートさせた根底には、昔から思い描いていた「”美味しい”を通じて人々の暮らしをより良くしたい」という思いがあります。大学卒業後は社会人経験を積むべくメガバンクに就職したのですが、入社して3ヶ月ほどで料理人としてレストランに転職。後に取り組みたいと思っていた食のビジネスの幅を広げるために、料理のスキルを習得したいという狙いからです。でも学生時代にレストランで調理のアルバイトをしていただけで、修行経験はなかったため本格的なレストランでの料理人になる道は難しい。半ば諦めていたところ、憧れだったレストランの求人と条件が合うと気が付いたのです。その時の直感ですぐに会社を辞め、1年ほど料理人として厨房に立つことができました。次のステップとして2018年11月に、コオロギのワークショップで出会った仲間と共に昆虫食レストラン「ANTCICADA」をスタート。翌年、2021年9月に<YOOFIN>を立ち上げます。生まれて初めて渡ったガーナを舞台に世界にまで視野を広げて、食を通じたもっと大きなムーブメントを起こしたかったんです。 |
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ーー飲食店を始めようと思ったときに、さまざまな料理の選択肢がある中でどうして昆虫食を選んだのでしょうか。
関根 |
子供の頃から、道端に生えている雑草を食べてみたり、友人とレストランに行った時もみんなが残してしまうパセリやエビフライの尻尾まで食べてみたりしていました。避けられがちなものを食べてみて「ちゃんと美味しい!」という発見があるのが嬉しかったんですよね。「ANTCICADA」を始めたのも、昆虫食と初めて出会ったときに「コオロギってこんなに美味しいんだ」とすごく衝撃を受けたから。新たな食の選択肢をみんなにも共有したいと思ったのがきっかけでした。 |
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関根さんと現地の<YOOFIN>メンバーとの写真
ーー今の関根さんに大きく影響を与えたエピソードはありますか。
関根 |
学生時代は、暇を見つけては世界の農園や農家を尋ねて、様々な国の食文化を学ぶようにしていました。学生時代だけでも30カ国以上は旅したと思いますが、中でも特に印象的だったのは、エチオピアのコーヒー農園です。宿と食事を無料で賄ってもらう代わりに、農園で働くという生活を3ヶ月ほどしていました。 また大学二年生の時には、食に保守的な友人たちを招いて都内の外国料理店をめぐるイベントを開催。「食の世界一周旅行」と称して、韓国、中国、モンゴルというように日本から西回りに一周するように世界各国の料理を食べ歩きました。今まで食べたことのない料理に出会った友人から「こんなに美味しいものがあったんだ」という言葉を聞けた時は嬉しかったですね。周りの人の「美味しい」の枠が広がっていく感じが面白くて、その時の体験は今の<YOOFIN>の活動にも通じていると思います。 |
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ーー関根さんが行動を起こすときに大事にしていることはありますか。
関根 |
幼い頃から好奇心旺盛なので、やりたいことには迷わず挑戦して、いつでも人生をリセットできる状態でいるようにしています。漫画などの物語って、”〇〇編”のようにいくつもの章から成り立っているじゃないですか。まさにそれと同じ感じで僕の人生にもいくつもの目次を作れたらいいなと思っています。<YOOFIN>の唐揚げ屋台もそのうちの一つ。その先のもっと大きな章に繋がるような経験になればいいなと思っています。 また、何かに挑戦する時の基準として「自分自身が面白いと思えるか」は一つの指標にしています。合理的な判断や周りの人と比べた評価を基準にするのではなくて、自分が熱中できるかどうかが大事。誰もやっていないオンリーワンの取り組みをする方が、僕らしく活動できる気がしています。 |
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きっかけは偶然。今後の市場の動きを見越してガーナを選んだ。
ーー<YOOFIN>の場所として、ガーナを選んだ理由を教えてください。
関根 |
もともとはカシューナッツの生産を計画していて、主な産地であるガーナやナイジェリア、コートジボワールを舞台にしようとしていました。なかでもガーナを選んだのは、当時一番航空券が安かったから。でももう一つビジネス的な狙いもありました。ガーナのすぐ近くのナイジェリアは2024年には世界第3位になると言われているくらい人口増加が激しく、マーケットもとても大きい。さらに国民の平均年齢も19歳と、非常に若いパワーがある国なんです。これから成長する見込みがある国の近くでビジネスを始めることが大きなチャンスに繋がると思いました。 |
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ガーナのカシューナッツ農園の様子
ーー文化も言語も違う国で一から事業を始めるにあたって、一番大変だったことはなんですか。
関根 |
ガーナの人々は基本的に英語が通じるので、コミュニケーションの面ではそこまで苦労はありませんでしたが、事業を始めるにあたって物事が計画通りに進まなかったのにはかなり頭を悩ませましたね。レストランのために借りようと思っていた物件の前のオーナーがなかなか退去してくれなくて結局半年ほど入居が延びてしまったり、メールの連絡もなかなか返事が返ってこなかったり……。ガーナの人は「明日やる」が口癖であまりにも物事が進まないので、僕はガーナのことを「トゥモローランド」と呼んでいます(笑) そういった事が重なり当初の予定よりも大幅に計画が遅れているのが現状。まだレストランをオープンできていないのですが、最初の頃に実験的に出した屋台ではかなり好感触だったので、いち早くお店をオープンできるように奮闘しているところです。 |
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ーー現地の方々からは具体的にどんな反応がありましたか?
関根
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「今まで食べたものの中でダントツ美味しかった!」と言ってくれたりお店のオープンを楽しみにしてくれている方も多かったのは励みになりました。車や家電製品など、プロダクトにおけるジャパニーズクオリティのブランド力はある程度ガーナにも浸透していましたが、「食に関してもさすがハイクオリティだね」という反応だったのは嬉しかったですね。唐揚げをきっかけに日本に興味を持ってくれたり視野が広がっていくのを見てとてもやりがいを感じました。 |
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実験的にオープンした屋台と、唐揚げを頬張る現地の人々
まずは小さな屋台から。夢は大きく打倒カーネル・サンダース。
ーー日本の美味しいものを広めていこうと思った中で、数ある日本料理の中から唐揚げを選んだのはなぜですか。
関根 |
ガーナではフライドチキンがとても人気だということを知っていたので、同じように鶏肉を揚げて作る唐揚げは現地の人にも受け入れられるだろうなと思っていました。塩分とニンニク、生姜も、現地の人が大好きな味付け。なるべく現地の人の食文化に合ったものを提供したかったので、唐揚げが一番うってつけだと思ったんです。 現地の人は唐揚げを単品で買っていくことがほとんどないので、唐揚げにつけるソースやチャーハンをセットにしたり、今後オープンするレストランの目玉商品となるような唐揚げを挟んだバーガーなどのオリジナルメニューも開発中です。 |
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ーー関根さんが<YOOFIN>の活動の中で、一番やりがいを感じる瞬間はいつですか。
関根 |
料理をお客さんに食べてもらって、いい反応があった時は一番嬉しいですね。僕の料理が人を幸せにしていると思えるだけで胸がいっぱいになります。 あとは、養鶏場で働く女性の子供達が生き生きと暮らしていたり美味しそうに食べ物を食べている姿を見ると心が温かくなります。<YOOFIN>はガーナの農村部に養鶏場を設けているのですが、それは農村部の女性の雇用を増やすことを目標にしているから。ガーナの農村部では、特に女性の雇用がまだまだ少なくて、貧困も問題視されています。ただ美味しいものを届けるだけではなくて、ガーナの人々の暮らしや雇用形態をより良いものにする存在として<YOOFIN>も大きくなっていきたいですね。 |
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イチから養鶏場を作っている様子
ーー2年目に突入した<YOOFIN>ですが、今後の展望や目標はありますか。
関根 |
まずは小さな屋台から始めて、ガーナ中にお店を増やして、ゆくゆくはナイジェリアを通してアフリカ全体に広めていきたい。目指すは打倒カーネル・サンダース。現地で圧倒的に愛されるブランドにして、フランチャイズ展開もしたいと思っています。 せっかくゼロから始めているので、新しく開設した<YOOFIN>のTikTokアカウントなどのSNSを駆使してその途中経過などもどんどん発信していく予定。応援したいと思われるような愛される店にして、お客さんと一緒に成長していきたいです。 |
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